2010年2月下旬 発売
| 品番: | ESSG-90037/38 [Super Audio CDハイブリッド・ソフト2枚組] |
| 価格: | 6,000円(税抜 5,715円) |
| レーベル: | DG(ドイツ・グラモフォン) |
| 音源提供: | ユニバーサルミュージック合同会社 |
| ジャンル: | 交響曲 |
| DSD MASTERING/ |
| Super Audio CD層: | 2チャンネル・ステレオ[マルチなし] |
| CD層: | ADD |
| 美麗豪華・紙製デジパック・パッケージ使用 |
“Super Audio CD“と“DSD”は登録商標です。 |
エソテリックならではの妥協を排したSuper Audio CDハイブリッド盤
オリジナル・マスター・サウンドへの飽くことなきこだわりと、Super Audio CDハイブリッド化による圧倒的な音質向上で話題沸騰中のエソテリックによるデッカとドイツ・グラモフォンの名盤復刻シリーズ。発売以来LP時代を通じて決定的名盤と評価され、CD時代になった現代にいたるまで、カタログから消えたことのない名盤をオリジナル・マスターからリマスタリングし、初のSuper Audio CDハイブリッド化を実現しました。
録音後50年を経ても失われぬ演奏の生命力
20世紀のロシアを代表する巨匠エフゲニー・ムラヴィンスキー(1903〜1988)が、1960年にドイツ・グラモフォンに録音したチャイコフキーの後期交響曲集は、発売以来一度もカタログから消えたことがない不朽の名盤です。重厚で輝かしい金管や、コントラバスにいたるまで一糸乱れぬ弦のアンサンブルなど、ロシアの演奏伝統に依拠しつつも、粗野に走らず独自の洗練を感じさせる個性的な解釈は、ムラヴィンスキーのトレードマークといえます。第4番第3楽章のピッチカートの生々しさ、第5番第4楽章の疾走する弦、《悲愴》第1楽章の臓腑をえぐられるような凄絶なクライマックスなど、聴き所は無数にあります。
ムラヴィンスキー/レニングラードの全録音中、ベストのクオリティ
ムラヴィンスキーは、手兵レニングラード・フィルを率いて、1960年10月〜11月、イギリス、フランス、ベルギー、オランダ、イタリア、スイス、オーストリアを回る長期演奏旅行に出ました。海外への渡航を厳しく制限されていたムラヴィンスキーにとって、1956年5月〜6月のドイツ、スイス、オーストリアへの演奏旅行以来ひさしぶりの西側へのツアーとなり、ショスタコーヴィチの交響曲第8番のイギリス初演(9月23日=BBCによるライヴ収録あり)を含む、お得意のロシアものを中心に、鉄壁のアンサンブルを披露して、各地の聴衆の度肝を抜きました。この機会をとらえ、ドイツ・グラモフォンはチャイコフスキーの後期交響曲3曲の録音を実施、ツアーの最初の公演国イギリス、エジンバラでの演奏会のあとロンドンで交響曲第4番が収録され、ツアーの最後の地となったウィーンでの演奏会の後、第5番と第6番《悲愴》が収録されました(ロストロポーヴィチの独奏によるシューマンのチェロ協奏曲やオーケストラ曲の録音は、ツアーに同行したロジェストヴェンスキーが担当)。
レニングラード・フィルは、1956年6月の訪欧時にもドイツ・グラモフォンにチャイコフスキーの後期交響曲をモノラルで録音していますが、この時は、ムラヴィンスキーは第5番と第6番《悲愴》のみで、第4番はクルト・ザンデルリンクが担当していました。前回の録音から4年しか経っていないにもかかわらずドイツ・グラモフォンが再録音に踏み切ったのは、1950年代後半に導入された新しくステレオ技術によってステレオ・レコードを発売したいという点と、第4番を首席指揮者であるムラヴィンスキーの指揮で残しておきたい、という強い希望があったためでしょう。ムラヴィンスキーは、ソビエトの国営公社であったメロディア・レーベルにも後期交響曲の録音を行なっており(第4番=1958年、第5番=1940年代後半、第6番=1949年)、ヨーロッパでもさまざまなレーベルを通じて発売されていました。それらの録音からも1938年以来強い絆で結びついていたこのコンビ独特の演奏解釈はすでに確立されていることは聴き取ることができるものの、音質の貧しさは西側のそれに比すべくもありませんでした。この1960年盤の後、ムラヴィンスキーが早々にレパートリーから落とした第4番は別として、第5番と第6番《悲愴》については、演奏会のライヴからのCD化も行なわれていますが、音質と演奏両面のクオリティで匹敵する録音は他にはありません。それだけでなく、ムラヴィンスキー=レニングラード・フィルの全録音の中でも最高のクオリティというべきでしょう。
最高の状態でのSuper Audio CDハイブリッド化が実現
第4番はロンドンのウェンブリー・タウン・ホール、第5番と第6番はウィーンのムジークフェラインザールという、いずれも音響には定評のある会場で収録されている点が大きなポイントです。この時期のドイツ・グラモフォンのサウンドらしい、コンサートホール的な奥行き感がそなわった名録音です。特筆すべきは、レニングラード・フィルの通常の古典配置と異なり、L→Rチャンネルで、弦楽器を第1ヴァイオリン→第2ヴァイオリン→ヴィオラ→チェロ→コントラバスというモダン配置にしている点です。ムラヴィンスキーのステレオ録音でこの配置を採用しているのはこの盤だけです。デジタル初期からCD化され、2006年にはオリジナルズ・シリーズに組み入れられましたが、今回改めてオリジナル・マスターからのリマスタリングが施され、これまでにない情報量の多い鮮明なサウンドで、ムラヴィンスキーの大胆なまでに個性的な演奏解釈を味わうことが可能となりました。
「眼光紙背に徹した名表現」
『眼光紙背に徹した名表現である。ムラヴィンスキーの指揮ぶりは極めて純音楽的であり、速いテンポでスマートに良く流れ、無駄がなく、表面的にはストレートで淡々としたチャイコフスキーに聴こえるが、実はそうではない。スコアの読みはまことに主観的で鋭く閃きに満ち、まことにユニークかつ変幻自在である。ただ彼はそうした解釈を実際の音に移すにあたって、少しでも客観的に聴こえるように全力を傾けているにすぎない。』
(宇野功芳、『レコード芸術別冊・クラシック・レコード・ブックVOL.1交響曲編』1985年)
『全体の造形をくずさず、きびきびとしたリズムと端正なフレージングで、ひとつひとつの楽想を厳しく彫琢している。ひたすら音楽の核心を見据えて、それを掘り出し、白日のもとにさらしたような演奏である。強いメリハリがドラマティックな躍動を生み出し、力強く盛り上げていく終楽章のコーダが聴きどころ。』
(石田一志、『レコード芸術別冊・クラシック・レコード・ブックVOL.1交響曲編』1985年)
『これは圧倒的なチャイコフスキー演奏である。地の底から湧き上がるような痛切な悲嘆、灼熱して燃え尽きんとする激情のほとばしり。聴く者を揺れ動く大波のうねりに乗せて、日常を忘れさす。奥行と深い翳りを宿し充実した中低弦、木管の心情のこもった色彩、原初的と呼びたい本来の威力を発揮した金管の凄み、ヴァイオリンの豊かな表情が渾然一体となって、演奏のレンジの幅広さは抜群。きわめて男性的な《悲愴》だが、音楽が暴力的にならないのは、ムラヴィンスキー特有の品格が基本を支えているからだ。』
(佐々木節夫、『レコード芸術別冊・クラシック・レコード・ブックVOL.1交響曲編』1985年)
『現代の演奏にはない怖ろしくなるような気迫と存在感に圧倒されてしまう。まさにロシアの慟哭を聴かせる演奏とでも言えばよいのか。ムラヴィンスキーが再現するチャイコフスキーの世界は、文字通りロシアの風土、ロシアの自然、ロシアの民族、ロシアの歴史を背負って立つ音の営みであり、そこにある岩盤のような音楽の強さと優しさに心奪われる。』
(諸石幸生、『クラシック不滅の名盤1000』2007年)
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