Super Audio CD

Peer Gynt

グリーグ《ペール・ギュント》の劇音楽 / ホルベルク組曲

Peer Gynt

メーカー希望小売価格 :  3,972円(税込)

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特長

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北欧の透明な美感を伝えるグリーグの名演
黄金時代のフィリップス・サウンドの最優秀録音が
Super Audio CDハイブリッドで蘇る。

ESOTERICならではのこだわりのSuper Audio CDハイブリッド・ソフト

オリジナル・マスター・サウンドへの飽くことなきこだわりと、Super Audio CDハイブリッド化による圧倒的な音質向上で確固たる評価をいただいているESOTERIC名盤復刻シリーズ。発売以来LP時代を通じて決定的名盤と評価され、CD時代になった現代にいたるまで、カタログから消えたことのない名盤を高音質マスターからDSDマスタリングし、世界初のSuper Audio CDハイブリッド化を数多く実現してきました。当盤は、デジタル初期に発売され、その演奏・録音のクオリティの高さで知られるフィリップスの名盤からグリーグ作品を1枚にカップリングしての世界初Super Audio CDハイブリッド化です。

アナログ後期~デジタル初期のレコード界を彩ったデ・ワールト
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© Decca /Bart Mulder

1960年代に彗星のごとく登場し、アナログ時代後期からデジタル初期にかけて、綺羅星のごとき名盤を続々と世に送り出したオランダの名指揮者エド・デ・ワールト(1941年アムステルダム生まれ)。音楽的な家庭で育ち、スヴェーリンク音楽院でオーボエとピアノを学び、アムステルダム・フィルのオーボエ奏者を経て、1963に名門アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席オーボエ奏者として音楽家としてのキャリアをスタートさせました。オーボエ奏者としての活動に飽き足らず、フランコ・フェラーラらに指揮を師事し、1964年、23歳の時にミトロプーロス指揮コンクールで優勝。バーンスタイン/ニューヨーク・フィルとハイティンク/コンセルトヘボウ管のアシスタントを経て、1967年、26歳でオランダ管楽合奏団とロッテルダム・フィルの指揮者に任命されました。ハイティンク以来の自国の有望株ということでデ・ワールトの才能にいち早く注目したフィリップス・レーベルは、1969年からオランダ管楽合奏団との録音を開始。デ・ワールトの1973年のロッテルダム・フィル音楽監督就任後は同フィルとの録音を行ない、プロコフィエフ「ロメオとジュリエット」、ムソルグスキー「展覧会の絵」、サン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」、ラフマニノフの交響曲全集など、ロマン派以降の大規模なオーケストラ作品をアナログ完成期の充実したフィリップス・サウンドによって捉えたフレッシュな名演の名録音盤が続々と生み出されたのでした。

初期デジタル時代に話題を呼んだ
デ・ワールト&サンフランシスコ響の名盤

1975年、デ・ワールトはサンフランシスコ交響楽団と初共演し当時の音楽監督小澤征爾に請われて翌年から首席客演指揮者、そして1977年には音楽監督に就任し、アメリカでの基盤を確立。同響との演奏活動が熟するのを待ったかのように、音楽監督就任後4年を経た1981年に、ようやくレスピーギ・アルバム(ローマの松・噴水)を引っ提げてフィリップスへの録音を開始しています。これは奇しくもデジタル録音の到来時期にあたり、デ・ワールトはロッテルダム・フィルとの録音レパートリーの延長線上で、サン=サーンス「オルガン付き」の再録音、スティーヴ・ライヒ作品集、マーラーの交響曲第4番、ワーグナーの交響曲など、フィリップスによるデジタル初期の重要なオーケストラ録音を生み出したのでした。

発売当初から高評価の「ペール・ギュント」

今回Super Audio CD ハイブリッド化されるグリーグの「ペール・ギュント」は、このコンビがフィリップスに残したデジタル録音の中でも発売当初から最も高く評価されていたもので、アナログ時代のビーチャム盤やバルビローリ盤に倣い、組曲版ではなく全曲盤から聴きどころ12曲を抜粋して登場順に並べるという形を取っているのが大きな特徴です。アメリカのオーケストラにもかかわらず、北欧音楽らしい透明なサウンドが際立つとともに、それぞれの曲のキャラクターが鮮明に描き分けられているのが聴きどころで、しかもそのうち3曲では合唱団が起用され、さらにオランダの名ソプラノ、エリー・アメリング(1933年生まれ)が名曲「ソルヴェイグの歌」「ソルヴェイグの子守歌」「アラビアの踊り」で美しい花を添えています。

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膨大な録音を残したイギリスの名匠マリナー
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その92年の生涯でカラヤンに匹敵する量の録音を残したのがイギリスの名指揮者、ネヴィル・マリナー(1924~2016)でした。フィルハーモニア管弦楽団やロンドン交響楽団のヴァイオリン奏者としてスタートしましたが、何といってもマリナーの名を世界的にしたのは、彼が1959年に創設したアカデミー室内管弦楽団との活動でしょう。当初は、当時大きな関心が芽生えつつあったバロック音楽をメイン・レパートリーに据え、緻密かつ最新の研究に基づいた演奏を展開し、爆発的なブームを巻き起こしました。録音にも大きな比重を置き、1960年代後半からは英デッカのサブだったアーゴ・レーベルに録音を開始、ヴィヴァルディ「四季」、バッハ「ブランデンブルク協奏曲」、ヘンデル「メサイア」、モーツァルト「レクイエム」など、既存のイメージから作品を解放するかのような新しい解釈で音楽ファンに驚きを与え続けました。1970年代に入るとフィリップス・レーベルにも録音を開始し、EMIなど他レーベルへの録音もあったものの、CD時代に至るまで、同レーベルがマリナー=アカデミーのメイン・レーベルとなりました。

マリナーの愛奏曲「ホルベルク」組曲

当アルバムに収録されたグリーグの「ホルベルク組曲」は、1984年に録音されたもので、シベリウスの「カレリア」組曲、「トゥオネラの白鳥」などと組み合わせて最初からCDとして発売されました。弦楽合奏で演奏される「ホルベルク」組曲はマリナーの得意曲で、アーゴ初期の1970年にも録音しており、このフィリップス盤を挟んでさらに10年後の1994年に独ヘンスラー・レーベルにも録音しています。弦楽奏者だったマリナーゆえに、弦楽合奏は文字通りお手の物であり、効率的なボウイングによる丁寧なフレージングによって、各パートの動きに透明感を持たせつつ、合奏を見事に引き締め、作品の輪郭をクッキリと際立たせています。

最高の状態でのSuper Audio CDハイブリッド化が実現

デ・ワールトの録音はサンフランシスコ交響楽団の本拠地であるデイヴィス・シンフォニー・ホールで行われました。このホールはデ・ワールトの音楽監督在任中の1980年にオープンし2739席を擁するコンサートホールで、フィリップスの録音は1981年10月のレスピーギ・アルバムからスタートしています。コンサートホールとしては必ずしも万全のものではなく1992年に改修されていますが、改修前は残響は少な目であったため、録音会場として使った場合その分オーケストラの各パートが極めて明晰に収録できるという利点もあり、アナログ時代に完璧の域に達していたフィリップスのノウハウを投入した気合の入ったデジタル録音によって、オーケストラ全体の大きなパースペクティヴを見通しよく捉えつつ、各パートの動きやソロも繊細にクローズアップされた名録音が生まれたのでした。美しく伸びやかなアメリングのソロ、民族色豊かな合唱も鮮やかに収録されています。
一方、マリナーの録音は、ロンドンの録音会場として最も有名な場所の一つ、ウェストミンスター地区スミス・スクエアにあるセント・ジョンズ教会で行われました。もともとは18世紀に建立された教会で、第2次大戦中の空襲で焼け落ち、1969年に再建後はその優れたアコースティックのゆえにコンサートホールおよび録音会場として多用され、マリナーとアカデミー室内管の録音もアーゴ時代からここで数多く行われてきました。
いずれも初期のデジタル録音であるため、今回が初めての本格的なリマスタリングとなります。今回のSuper Audio CDハイブリッド化に当たっては、これまで同様、使用するマスターテープの選定から、最終的なDSDマスタリングの行程に至るまで、妥協を排した作業が行われています。特にDSDマスタリングにあたっては、DAコンバーターとルビジウムクロックジェネレーターに、入念に調整されたESOTERICの最高級機材を投入、またMEXCELケーブルを惜しげもなく使用することで、オリジナル・マスターの持つ情報を余すところなくディスク化することができました。

「澄み切った北欧の抒情を十分に引き出し
清々しい空気感の中でたっぷりと歌いきっている」
– ペール・ギュント/デ・ワールト –
「デ・ワールト&サンフランシスコ響の魅力は、透明感のある音質と端正な表現になると言ってよいだろう。このグリーグにもその長所はよく発揮されている。全25曲よりなる全曲から12曲を抜粋したもの。よく知られた組曲よりもいっそう豊かな世界が広がり、幻想的な美しさが漂う。何よりも旋律が素晴らしく、北欧的な和声も印象深い。サンフランシスコ響の響きがうっすらと北欧風に染まる中、音楽は自然な流れをもって清新な情緒を深める。アメリングの歌唱も印象的だ。」
『クラシック・レコード・ブック1000 VOL.2管弦楽曲編』1986年
 
「デ・ワールトは作品のドラマ性を意識しながら、作為的にならず、余裕と柔軟性に満ちた表現を聴かせている。オーケストラ・コントロールについても、近年急速にその手腕を高めていることを裏書きしている。ポピュラーな音楽を安易に捉えず、全曲と個々の音楽の中でも確かな見通しを持ちつつ、清澄な響きの中に北欧的なロマンを歌いあげている。独唱のアメリングの好演も大変印象深い。」
『クラシックCDカタログ‘89前期』1989年
 
「デ・ワールト盤は、ノルウェーの民族性や自然の美しい抒情を聴かせる方向性で、劇音楽としての流れを保ちつつ、音楽の清澄な美しさを無理なく示している。しかしこの盤の魅力は何といってもソプラノのエリー・アメリングの純粋に透き通った極め付きの歌唱である。彼女の歌が聴きたいが故にここでこの盤を選んだと言っても過言ではない。最後の『子守歌』がまさに絶品で、涙を誘う静かな感動がある。」
『ONTOMO MOOK クラシック名盤大全管弦楽曲編』1998年
 
「この演奏は組曲ではなく、イプセンの劇への付随音楽の第1幕から第5幕までの抜粋を順につないだ演奏である。むろん途中に有名な小品が続々と登場するが、劇の流れを想像しこの名曲を聴くのも一つの楽しみデ・ワールトは澄み切った北欧の抒情をこのオケから十分に引き出し、清々しい空気感の中でたっぷりと歌いきっている。合唱も参加するが、特筆すべきはソプラノのアメリングが清純に歌う-5 -『ソルヴェイグの歌』と『子守歌』だろう。透明で艶のある美声が純粋な心情をストレートに表現し、美しさを高めている。やはり歌唱が加わるとこの2曲の価値を再認識し、『子守歌』は涙なしには聞けない。」
『最新版・クラシック名盤大全交響曲・管弦楽曲編』2015年
 
– ホルベルク組曲/マリナー –
「どの曲も北欧の気分をたっぷりとたたえた演奏で、マリナーらしく実に丁寧にまとめあげている。『ホルベルク組曲』のアリアなどは、特にマリナーの長所が発揮されていて、その練れた表現にひきつけられる。オーケストラの弦の合奏の力も極めて優秀で、輝かしい音色も美しい。」
『クラシックCDカタログ‘89前期』1989年